Design
母国デンマークの地で時を経て
忠実に蘇った掛け時計と置き時計
デンマークの伝統的なデザインを踏襲し育むことに努めているROSENDAHL社は、数年来海外の製造業者に委ねられていたデンマークの誇りとも言える3つのヤコブセンクロックの製造権を獲得し、同時にこのウォールクロックをオリジナルデザインに忠実に甦らせることを責務とした再興プロジェクトを立ち上げました。
ヤコブセンのスタイルそして信念を100%忠実に守っていることを保証するために、ROSENDAHL社は「Roman」の設計図及び「Bankers」「City Hall」の現存するオリジナルクロックを入手し、そして、亡きヤコブセンの意思を継ぐ後継者の一人である建築家のテイト・ヴァイラント氏を監修に招き、共同制作のもと実現しました。一体型を実現した文字盤や、美しく弧を描くミネラルガラスとステンレスケース、裏蓋、色などに、テイト氏のこだわりが色濃く感じられます。
テイト氏はのちにこう語っています。
「私はどんなリクエストに対しても製造業者が最後まで責任を放棄しないということを唯一の条件として、このプロジェクトへの参加を決めました。私は製造過程の様々な機会で『No』を言ってきました。それは、私にはこの製品がオリジナルと限りなく近いことを保証する責任があったからです。針、ケーシング、ガラスの形状…、ありとあらゆるところを調べ、そして全てを乗り切りました。」と。こうして「Bankers」「Roman」「CityHall」の3つのヤコブセンクロックは、晴れてオリジナルデザインに忠実に、母国デンマークの地で甦りました。



1930年ヤコブセンの転機となった
幻のテーブルクロックが復刻
ヤコブセンのデザイン史において欠かせない作品はまだあります。掛け時計を手掛ける前から生み出されていたそのデザインは、後にヤコブセンの飛躍のきっかけになったとも言われる”幻の作品”です。それは1930年当時のデンマーク最大手電気機器メーカー「Lauritz Knudsen」のために製作したテーブルクロックです。大戦の影響でわずかな期間で販売終了となったことから、幻のテーブルクロックと呼ばれたこのプロダクトは、それまで住宅設計を主としてきたヤコブセンの転機となり、その後の歴史に残る数々のプロダクトデザインの幕開けとなりました。
ROSENDAHL社は、このテーブルクロックを現代に蘇らせるために、Lauritz Knudsen社のシニアスタッフと共に復刻プロジェクトを結成。希少なオリジナル製品を入手し、そのデザインに忠実に尚且つ現代に合わせた優れた機能を加え、幻のテーブルクロックを復刻させました。「LK」「ROMAN」「STATION]」という3モデルの復刻に加え、新たにヤコブセンの代表作である、「BANKERS」「CITY HALL」の2つのデザインのテーブルクロックの製品かも実現。70年以上の時を経て、ヤコブセンのルーツを巡る幻の名作が現代に甦りました。




バンカーズ(1971年)


エルケー(1939年)


ローマン(1939・1942年)


ステーション(1943年)


シティホール(1956年)
